IPABコンテスト:「コンピュータで薬のタネを創る」
第2回の情報はこちらを御覧ください。
「薬を一つ創る」、このためには十数年にわたる期間と数百億円に及ぶ膨大な費用が必要であり、加えて近年はこの研究開発費がますます増加しているため、創薬のための新しい技術が世界的に模索されています。こうした中で、コンピュータを用いて新薬候補化合物の効率的な探索を行う方法(IT創薬)に高い関心が寄せられています。わが国でも、2012年から本格的な運用が始まった理化学研究所に設置されたスーパーコンピュータ「京」や東京工業大学の「TSUBAME 2.5」などを利用したIT創薬プロジェクトがいくつもスタートし、IT創薬の取り組みが広がりつつあります。しかし、欧米と比較して、わが国での取り組みは遅れを取っているといわざるをえない現状があります。そこで、IT創薬に関する技術を広く浸透させること、IT創薬への参加者の裾野を広げることを目的として、創薬プロセスの上流であるヒット化合物(薬のタネ)の探索をテーマに、当コンテストを企画しました。当コンテストでは、化合物ライブラリの中から、課題とした標的蛋白質の機能を強く阻害する化合物を参加チームに予測・選択してもらい、実際にそれらの化合物の阻害活性を実験(アッセイ)によりランキングし、“良い”化合物を提案したチームを表彰します。コンテストと銘打ってはいますが、勝敗を決定することは二の次です。なぜなら、たった一回のアッセイ結果で、手法の良し悪しを統計的に結論付けることは不可能だからです。むしろ、高専生・大学生・大学院生・創薬に関わる現役研究者に、「自分たちで化合物を選択する。そのアッセイ結果が実際にフィードバックされる」という過程を経験してもらう人材育成に主眼を置いています。今回は初めての開催ということもあり、規模は大きくはありませんが、多くのチームに参加して頂けることを期待いたします。
コンテスト概要参加者に標的蛋白質に対して阻害活性を有すると思われる化合物を指定した化合物ライブラリから予測して頂き、その化合物のIDを提出して頂きます。その後、IPABでそれらの化合物について実際にアッセイを行い、その結果で化合物の阻害活性をランキングし、予測結果を評価いたします。
参加資格以下の項目に同意して頂ければどなたでもコンテストへの参加が可能です。参加時に氏名、所属機関を明らかにして頂く必要はなく、連絡先を明記して頂ければ匿名での応募も可能です。また、参加に際して、参加費等の費用は一切かかりません。 参加要件
標的蛋白質Human c-Yes kinaseを標的蛋白質とし、このリン酸化活性を阻害する化合物の探索をテーマとします。このキナーゼは、チロシンキナーゼのなかの、Srcファミリー(Blk, Fgr, Fyn, Hck, Lck, Lyn, Src, Yes, Yrk)の一つです。ウエストナイル熱を引き起こすウエストナイルウイルスに対する抗ウイルス薬開発のための、宿主側標的蛋白質として挙げられています(Hirsch et al., J. Virol. 2005, 79, 11943.)。Hirschらによって、Srcファミリーの中でも、c-YESがウイルスの生活環に深く関与していることが示唆されています。 標的蛋白質のアミノ酸配列アッセイのためのc-YESの発現には、NCBI NM_005433 のcDNA配列が用いられます。対応するアミノ酸質配列はNP_005424となります。詳細は以下URLをご参照ください。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/NP_005424 化合物ライブラリ化合物探索に用いる化合物ライブラリは、Enamine社提供の約220万化合物を収載したものとします。以下リンクからダウンロードが可能です。カッコ内はファイルサイズおよびMD5のハッシュ値です。このZIPファイルを解凍すると、SDFが解凍されます。なお、このライブラリに存在してもEnamine社の在庫状況の変化により生じた在庫切れにより、アッセイが行えない可能性もありますので、予めご了承ください。また、構造、Id number、Link以外に併記されている値(LogPなど)は計算値です。HTS collection、Advanced collectionの性質については、こちらをご参照ください。PB1311はHTS collectionと同様の性質のライブラリです。
EnamineLibrary_hts_advanced_PB.zip (653 MB, 698dffdca8548e48d97b2b0fc6380671)
※Enamine社の詳細については、以下URLをご参照ください
ルール提案化合物数各チームには120個以内(できれば120個)の候補化合物のIDを、それぞれに優先順位を付けて提出して頂きます。この化合物数の上限は在庫切れによる欠品をカバーするために、大目に設定されています。全ての化合物がアッセイされるわけではありませんので、ご了承ください。
チームのグレード分けについてアッセイが可能な数には限界があるため、応募チームが多数となった場合には、審査員の判断によって各チームのアッセイを行う化合物の数を制限します。各チームがあらかじめ指定した優先順位に従って、実際にアッセイされる化合物が決定します。また、全ての参加者から提出された化合物に、ヒットが含まれない可能性を減らすために、「審査員評価枠」を設け、提出されてきた化合物で、上述の評価化合物に入っていない化合物から、ヒットしそうな50個程度を審査員が選出し、これらもアッセイに回します。以下の表は5チームが参加した場合の例です。
なお、応募者多数の場合は、グレードC(評価化合物数=0、審査員評価枠は制限なし。)を設ける場合があります。
アッセイの方法アッセイは、Bientaが担当し、Promega社のADP-Glo kinase assay platformでpoly(Glu-Tyr) substrateを使用したYES kinaseスクリーニングのキットが用いられます。アッセイは以下の順序で行われます。
※BientaはEnamine社のバイオロジー部門です。詳細は以下URLをご参照ください。
化合物が不溶の場合化合物ライブラリに登録されている化合物の中には、阻害活性アッセイの条件下で不溶のものもあります。この場合、アッセイ結果は「不溶」とさせていただきます。
参加方法***今回のコンテストへの参加申し込みは終了いたしました***
スケジュール
2014年3月20日(木) 参加者による提案化合物の提出締切り 2014年6月 アッセイ結果の公表 2014年7月17日(木) コンテスト発表会・表彰式 東京工業大学 大学院情報理工学研究科 大会議室 (大岡山) 〒152-8550 目黒区大岡山2-12-1 URL: http://www.titech.ac.jp/
広告掲載のお願い本コンテストの趣旨にご賛同くださり、IT創薬の一層の活性化をともに目指してくださるスポンサーを募集しています。 お申込みは以下からダウンロードできる申込書をご利用ください。是非ともご支援をお願いいたします。
賛助団体・賛助企業
運営、審査体制運営委員会関嶋政和(委員長、東京工業大学/IPAB理事・創薬情報WG担当)、石田貴士(東京工業大学)、千葉峻太朗(東京工業大学) 審査委員会広川貴次(委員長、産業技術総合研究所)、本間光貴(理化学研究所)、池田和由((株)レベルファイブ)
問合せ先ipab-contest@bi.cs.titech.ac.jp (担当:千葉峻太朗 )
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