第2回IPABコンテスト: 「コンピュータで薬のタネを創る2」
※コンテストの結果と受賞者はこちらを御覧ください
→ 「第2回IPABコンテスト: 「コンピュータで薬のタネを創る2」 結果」のページ
「薬を一つ創る」、このためには十数年に渡る期間と数百億円に及ぶ膨大な費用が必要であり、加えて近年はこの研究開発費がますます増加しているため、創薬のための新しい技術が世界的に模索されています。こうした中で、コンピュータの利用する方法(IT創薬)に高い関心が寄せられています。
IPABではIT創薬を広く浸透させること、IT創薬の裾野を広げることを目的として、創薬プロセスの上流であるヒット化合物(薬のタネ)の探索をテーマにコンテストを実施いたします。このコンテストでは、化合物ライブラリの中から、課題とした標的蛋白質の機能を強く阻害する化合物を参加グループに予測・選択してもらい、実際にそれらの化合物の阻害活性をアッセイ・ランキングし、“良い”化合物を提案したチームを表彰します。コンテストと銘打ってはいますが、勝敗を決めるのは二の次で、むしろ、大学生・大学院生・創薬にかかわる研究者に、「自分たちで化合物を選択する。そのアッセイ結果が実際にフィードバックされる」という過程を経験してもらうことでIT創薬に関わる人材の育成をしていくということを目的としています。
2014年1月から7月にかけて「コンピュータで薬のタネを創る」と題して実施した第一回IPABコンテストでは、産業界・学界から、IT創薬のプロフェッショナル・IT創薬に関しては素人を名乗るグループ・学生グループなど10グループ参加がありました。この多様な参加グループが同じ課題に対して議論し色々なことを学ぶ機会を提供でき、IT創薬に関する人材育成に対して貢献できたと考えています。
今回の第二回では、前回の経験を踏まえ、アッセイ化合物数の増加や化合物の“良さ”を評価する新たな軸の導入などを検討し、参加される皆様に実りの多いコンテストになるように企画しております。前回に引き続き、多くの方々に御参加を頂ければ幸いです。
【主催】 特定非営利活動法人 並列生物情報処理イニシアティブ 【協賛】 国立大学法人 東京工業大学 【後援】 経済産業省 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 日本製薬工業協会 一般社団法人 情報処理学会 特定非営利活動法人 日本バイオインフォマティクス学会 特定非営利活動法人 情報計算化学生物学会(CBI学会) PCクラスタコンソーシアム 株式会社科学新聞社 株式会社日刊工業新聞社 【賛助団体・賛助企業】 一般財団法人 高度情報科学技術研究機構 一般社団法人 バイオ産業情報化コンソーシアム 株式会社HPCテック シュレーディンガー株式会社 株式会社情報数理バイオ ダッソー・システムズ・バイオビア株式会社 ディスカヴァリソース株式会社 株式会社データダイレクト・ネットワークス・ジャパン デル株式会社 ナミキ商事株式会社 日本電気株式会社 三井情報株式会社 株式会社リジット 株式会社リバネス 株式会社レベルファイブ ※ひきつづき、賛助団体・賛助企業を募集しております。詳しくは(こちら)をご覧ください。 |
コンテスト概要
参加者に標的蛋白質に対して阻害活性を有すると思われる化合物を指定した化合物ライブラリから予測して頂き、その化合物のIDを提出して頂きます。その後、IPABでそれらの化合物について実際にアッセイを行い、その結果で化合物の阻害活性をランキングし、予測結果を評価いたします。
参加資格
以下の項目に同意して頂ければどなたでもコンテストへの参加が可能です。参加時に氏名、所属機関を明らかにして頂く必要はなく、連絡先を明記して頂ければ匿名での応募も可能です。また、参加に際して、参加費等の費用は一切かかりません。
参加要件
- 化合物を評価するために用いた手法を、化合物ID提出時に提出すること。
再現実験が可能なように正確に手法を記述して下さい。ただし、計算プログラムを用いた場合は、その実行時の設定や詳細が記述してあれば、プログラム のソースコードの提出は不要です。また、計算ではなくvisual inspection(目視など経験に基づく手法)によって評価を行った場合は、その旨と用いた評価基準を記述して下さい。
- 提出した予測結果とそのアッセイ結果が公開されることに同意すること(2015年6月頃の公開を見込んでいます)。
標的蛋白質
Human c-Yes kinaseを標的蛋白質(第1回大会と同一)とし、このリン酸化活性を阻害する化合物の探索をテーマとします。このキナーゼは、チロシンキナーゼのなかの、Srcファミリー(Blk, Fgr, Fyn, Hck, Lck, Lyn, Src, Yes, Yrk)の一つです。
標的蛋白質のアミノ酸配列
アッセイのためのc-YESの発現には、NCBI NM_005433 のcDNA配列が用いられます。対応するアミノ酸質配列はNP_005424となります。詳細は以下URLをご参照ください。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/NP_005424
化合物ライブラリ
ルール
提案化合物数
チーム名 |
Alpha |
Beta |
Gamma |
Delta |
Epsilon |
審査員が決定したグレード |
B |
A |
A |
A |
B |
評価化合物数 |
200 |
400 |
400 |
400 |
200 |
小計(a) |
1600 |
||||
審査員評価枠 |
10 |
20 |
20 |
20 |
30 |
小計(b) |
100 |
||||
合計(a+b) |
1700 |
アッセイの方法
- (プライマリアッセイ)まず、全ての化合物対して、10 μMの固定された濃度で、阻害率測定をHTS用のプレート上で4試験(quadruplicate(n=4))実施します。Bientaによりプライマリヒットと定義された化合物、すなわち「その化合物の阻害率 > プレートのポジティブコントロール・ネガティブコントロールを除いた阻害率の平均値+その標準偏差×3」に該当する化合物をプライマリヒットとします。
- (バリデーション)プライマリヒット化合物に対して、プライマリアッセイと同様の阻害率測定を6試験(sextuplicate(n=6))実施し、活性があった化合物をヒット化合物とします。
- ヒット化合物の上位の数化合物および審査員の判断により、IC50の測定を実施いたします。
※BientaはEnamine社のバイオロジー部門です。詳細は以下URLをご参照ください。
化合物の評価方法
化合物のアッセイ結果(阻害率またはIC50)に基づき、以下の項目それぞれについて独立に評価いたします。
- ヒット化合物数
- 化合物の新規性
ChEMBLやBindingDBなどの化合物データベースに存在する既知Src阻害化合物との類似性が低いヒット化合物を評価いたします。
- 化合物のリガンドエフィシエンシー
阻害活性の強さ(阻害率またはlog(IC50)など)を重原子数で割った値を計算し、重原子数が比較的小さいにもかかわらず高い阻害活性もつ化合物を評価いたします。
スケジュール
2015年1月15日(木):コンテスト開始
・標的蛋白質名発表
・化合物ライブラリのダウンロード開始
・参加グループ登録、化合物ID提出開始
2015年3月20日(金):化合物ID提出 締切り
2015年6月:アッセイ結果の公表
2015年7月:コンテストの講評
広告掲載のお願い
本コンテストの趣旨にご賛同くださり、IT創薬の一層の活性化をともに目指してくださるスポンサーを募集しています。
お申込みは以下からダウンロードできる申込書をご利用ください。是非ともご支援をお願いいたします。
賛助団体・賛助企業
運営、審査体制
運営委員会
関嶋政和(委員長、東京工業大学/IPAB理事・創薬情報WG担当)、大野一樹(株式会社カタリスト/東京工業大学)、石田貴士(東京工業大学)、千葉峻太朗(東京工業大学)
審査委員会
広川貴次(委員長、産業技術総合研究所)、本間光貴(理化学研究所)、池田和由((株)レベルファイブ)
問合せ先
ipab-contest@bi.cs.titech.ac.jp (担当:千葉峻太朗 )