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IPABアクセラレターWGセミナー報告

アクセラレータのシーズ動向 セミナー報告(主査:小西史一)

日時: 2008年7月18日

場所: 東工大サピアプラザ(東京駅)

主査: 小西史一(副理事、東京工業大学)

講師: 高橋昭裕(ClearSpeed Technology Inc.), 田村陽介(株式会社フィックススターズ)

参加者:秋山泰(理事長、東京工業大学)、日紫喜光良(理事、東邦大学)、西克也(理事、株式会社ベストシステムズ)、小林将人(アドバンスソフト株式会社)、平岩篤信(ソニー株式会社)、福井義成(宇宙航空研究開発機構)、藤原康広(株式会社情報数理研究所)、三十尾潔高(株式会社情報数理研究所)、瀬川淳一(株式会社東芝)、田邊昇(株式会社東芝)、塩野入功(日本SGI株式会社)、田原秀隆(日本SGI株式会社)、田村浩一(株式会社ソリトンシステムズ)、一柳洋(日本電気株式会社)

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主査の視点:IPABアクセラレータWGでは、主にバイオ系アプリケーションの加速をテーマに活動を計画しています。今回のセミナーは、その第一弾として現状市場にでているアクセラレターをについての理解を深める意味で開催いたいました。

話題提供をしてくださった講師は、ClearSpeed Technology Inc. の高橋氏と、株式会社フィックススターズの田村氏です。高橋氏に解説していただいたClearSeedのCSX600は、東京工業大学のTSUBAMEのノードにも実装されていいる96プロセッサーエレメントのSIMD型計算機チップです。つまり、一度に96の演算を実行することができるという代物です。TSUBAMEは、2007年6月には、このCSX600を用い48.88TFLOPSを実現しています。

田村氏に解説していただいたのは、最近International Supercomputing Conference」(ISC)において、1.026ペタフロップス(PFLOPS)で世界一のスパコンとなったRoadrunnerに搭載されたPowerXCell 8iについての解説をしていただきました。GigaAccel 180」は、IBM社製の最新型Cell/B.E.プロセッサ「PowerXCell™ 8i」を搭載した、PCI Expressボードです。従来のCell/B.E.に比べ、理論値で5倍の倍精度演算性能を発揮し、超高速計算が可能となっている高性能なボードです。 

今回のご講演の内容にも関係しましたが、アクセラレータWGでは以下の視点から、今後アクセラレータの動向に注目していきたいと考えております。(少なくとも主査の私は)

  1. BLASもしくは、LAPACKなどの数値演算ライブラリが提供されているか。
  2. 開発環境が整備されているか。SDK、プロファイラ等。
  3. 利用ユーザからの支持があるか。

1は、BLASなどの標準的なライブラリがサポートされていることで、アクセラレータを既存のプログラムの変更なしに利用することができる点に注目しております。現在アクセラレータWGでは、タンパク質の立体構造解析処理に使われるプログラムを中心にアクセラレーションが可能であるかを検討しております。この分野では、これまでディファクトとして使われてきた解析アプリケーションの多くが、BLASなどのライブラリを使っていることが多く、その場合には、アクセラレータカードと、LD_PRELOADなどの環境変数の変更でアクセラレーションが可能となることに注目しております。

もちろん、アプリケーションとしてのボトルネックがBLASライブラリの実行に関わっている場合が重要であることは自明ですが、最初のステップとして既存アプリケーションにおいて試す価値は十分にあり、シーズを持つコミュニティとアクセラレートしてもらいたいニーズ持つコミュニティを結びすける最初の一歩と考えております。

2は、1で紹介した方法でアクセラレーションできない場合でも、そのアルゴリズムの性質がO(N2)やO(N3)であれば、多くのアクセラレータでは劇的に性能が改善する可能性があります。もちろん、その場合には、そのアクセラレータのアーキテクチャーにあわせたコーディングをする必要があり、専門的な知識を必要とします。また今後は、このようなコーディングができる人材を育成の重要性を啓蒙するのもアクセラレータWGの使命とも考えております。

以上の観点から今回のセミナーでは、活発な質疑が交わされ、この分野における関心の高さを伺うことができたと感じました。次回は、タンパク質立体構造解析処理を行われている先端的な研究者をお呼びして、現在加速が必要と考えられるアプリケーションに関する情報や、そのアルゴリズムの特徴などについてご紹介していただくともに、引き続きアクセラレータを持つ開発する企業にも、技術を紹介してもらい建設的な議論が出来る場をつくっていきたいと考えております。

セミナー資料:資料1(ClearSpeed Technology Inc.)資料2(株式会社フィックススターズ)

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